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2013凱旋門賞 結果コラム

2頭の結果と不足材料

“偉業ならず”…オルフェーブル2着・キズナ4着!
優勝馬トレヴィに突き放された結果だけを見るならこの一文で終わってしまうことだが、当コラムを読まれたことのある方でなくても、こんな一言で片付けられない様々な背景・状況があることはすぐに気付かれるだろう。

今回の挑戦において、まず一番に言わねばならないことがある。それは、オルフェーブルもキズナも全力を出した素晴らしい走りができたということ。そして、この両馬を送り込む努力を尽くした関係者には勝ち馬にも優る賛辞を贈らねばならないということである。
両馬ともに前哨戦を勝ち、「アウェイ以上の不利=完全敵地」と言えるロンシャンの地でともに人気の一角を占めるという状況で臨戦しているだけでもすでに偉業なのである。
それだけに勝てなかったことへの落胆は大きいのだが、ほんの10年前にはこんな日が来ることなど考えられなかっただけに、“まさかの日本馬1・2”という夢まで見せてくれたことには賛辞以外の言葉は思い浮かばないだろう。
たしかに今回は夢で終わったが、欧州(フランス)の意地と権威から欧州馬以外に勝たせる訳にはいかない凱旋門賞(勝つことだけならアメリカの方が遥かに勝ちやすい)という、世界一厚い壁に向かってあくまで挑戦し、もう一歩で偉業達成・奇跡の華を咲かせようした日本生産界の覇気の高さこそ、夢に向かって挑むことの大切さを我々に伝えていると言える。

たしかに過去にも凱旋門賞で好走した日本馬はいた。
特にエルコンドルパサー初の2着は、当時の年度代表馬がスペシャルウィークではなく同馬だったことからも大偉業であった証拠であり、しかも、蛯名正義が鞍上にも関わらず僅かの差だったことからも本当に惜しいと感じさせられた。
ただし、エルコンドルパサーは外国産駒であり、まだまだ日本生産馬が太刀打ちできるレベルでないレースであることも明らかなった。

次の2着馬がナカヤマフェスタで、同馬はそもそも大穴だったため多分にマグレの要素は強かったものの、初めて日本産駒が凱旋門賞に2着したという大きな意味合いを持つ馬だった。
同馬も鞍上が蛯名正義だったことで、その腕に見合わない結果に当初は『蛯名は欧州向きのジョッキーなのか?』という何の脈絡もない思考を抱いたものだが、今思えば、“そもそも2着になった2回ともが奇跡だった”と考えれば大いに納得できる結果【こんな騎手には負ける訳がないと一流騎手が舐めてかかったから2着にもぐりこめた=一流騎手たちの油断】であり、同馬の2着が意味する価値は、この程度の騎手でもここまでやれる日本生産馬は強くなっているという生産界にとっては大きな期待を抱かせたことにある。

そして、過去の不足を補って余りあるとして日本中の期待を背負って挑戦したのがディープインパクトだったが、ここで予想だにしなかった事実が判明する。
それは、日本競馬史上最高に技術ある騎手と思われた武豊が、まさか世界に入ったら凡才でしかなかったことに気付かされたこと。
ディープインパクトは紛れもなく日本一の馬であり、当時の欧州陣営も同馬の潜在能力は十分に認めていた。だからこそ、同馬に能力を発揮させない競馬をさせるべく武豊に先手を取らせ、全馬のマトにする戦略で同馬を3着に貶めたのである。だからこそ、勝ち馬が人気薄で漁夫の利優勝馬だったのだ。もちろん鞍上は名手(ルメール)だったが…「もしも」があれば、引っ掛るとか考えずにディープインパクトのペースで走らせてやれば良かったと、おそらく当時の武豊自身が一番思っただろう。
つまるところ、たとえ馬の能力では勝てなくてもディープインパクトの弱点を突けば勝たれることはないと考えた作戦が見事にハマった【日本側からすれば見事に嵌められた】結果が3着だったのであり、それだけ欧州陣営は日本生産馬の実力はすでに世界レベルに達していると見ていた訳である。

そして昨年のオルフェーブル2着。ほぼ万全を期して臨んだ結果、まさかのあの不思議な直線抜け出し後のバテ斜行。
私は今だに『あんな負け方があるのか?』と不思議でならず、悪い想像から『やっぱりスミヨンも欧州人』という発想が頭から消せなかった。
それでも、日本馬が凱旋門賞をいつ勝ってもおかしくないレベルに達していることを証明してくれたことで今回に至った次第である。

そして、今回の結果を見て、なおさら強い思いを抱かされた…
それは、日本生産馬が世界中を席巻する状況にならない限り、現状のままでは凱旋門賞を勝つことは厳しいと言えることである。
たとえば、今回もオルフェーブルの鞍上にはスミヨンを起用したが、いくら彼が欧州では異端児扱いされているジョッキーだとしても、母国を尊重する気持ちがあるからには手控えるつもりなどなくても自然引け目を覚えることは察せられるところ。手抜きなどという悪意はなくても、ここ一番死ぬ気で馬を追うという心を求めるのは酷な要求だろう。
だからと言って、池添が乗ったら2着すらも覚束ないことは阪神大賞典でオルフェーブルに捕まってることしかできない騎乗を見ればあきらか。
だからこそ、武豊の一発に期待したのだが、所詮は競馬学校の卒業生であるからには比較すればスミヨン以下の腕しかなく、オルフェーブルとアンテロ(ペリエ)にも負けてしまったのである。

つまるところ、日本人騎手が乗る日本生産馬でなければ勝ち負けする域に達することはできないということ。それも、外人騎手と同等技量の騎手で臨まないと凱旋門賞を勝つことはできないということ。
したがって、競馬学校における非実力主義が罷り通っている現状を打破しない限り、日本産駒は外人ジョッキーの腕に頼るしかなく、外人騎手に頼るからには国家的威厳を誇りとするフランス凱旋門賞を勝つことはできないことをイヤでも認識しなければならない。

おそらく今後も馬の能力では十二分にチャンスは訪れるだろうが、こと凱旋門賞はフランスという威厳を重んじる国が容易に他国馬に勝たせる訳にはいかないレーシングスピリットを持って施行されているレースであり、そんな破格に重みのあるレースを競馬学校出の中央騎手で勝とうなど高校生がメジャーリーガに勝とうとするようなもの。何しろ、思いっきり油断してもらっても蛯名の2着が精一杯であることがそれを証明しているのだから!

どんなに夢に近づけても、アスリートとはとても思えない思考と技術しかない騎手たちが易々と勝星を稼ぎ、おまけにここ一番では馬券になれば責任を果たしたと思ってコメントしているようなレベルでは到底不可能である。

そんな中、唯一中央騎手(日本人代表)として凱旋門賞に騎乗できる腕があるとすれば、誰をおいても今は岩田康しかいないだろう。メルボルンCも香港スプリントも元の主戦騎手では到底勝てる訳などなかったからだ。
もちろんM・デムーロが帰化して乗ってくれるというなら話は別だが、M・デムーロも生まれはイタリアであるからには欧州の威厳に潰される可能性は高く、外人である彼にそれを望むのは今回のスミヨンとなんら変わらないものだろう。ならば、今は岩田康しか日本代表として送り込める騎手はいない。

今週の京都大賞典の結果には驚かされたものの、競馬学校の未熟者たちを優遇しすぎていることがあからさまになった毎日王冠の結果にはほとほと情けなさしか湧かず、そこにキズナの4着を見てしまっては、是非ともオルフェーブル、キズナ、エピファネイア【特にエピファネイアには岩田康騎乗を期待する…今の騎手は最低のジョッキーなのでエピファネイアは破格の結果を出せる可能性が高いから】のいずれかに彼を乗せて凱旋門賞に挑戦すべきであると騎手を見る目のある方なら誰もが共感できるはず。

最後にこれだけは断言しておく…実力主義でない騎手界を正常に戻さなければ絶対に凱旋門賞など勝てはしないと!

読切感謝!m(--)m どこかで誰かの参考となりますように!
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コメント

そういや

http://column.keibalab.jp/keita_weekly/028.html
「勝己:俺が見てて、ああいうレースをしてたけど、どっちかといえば、(戸崎騎手は)控え目なレースをすることが多いじゃない。もうちょっと強引でも良いと思う。当たりが柔いからな。騎乗を見ていても、拳が柔らかいわ。だから、少々ガッーとやったって、他の地方の騎手より重心が良いんですよ。
内田にしろ、岩田にしろ、どっちかと言うと、ちょっとやって、馬がカッと掛かった時はガチッと握っちゃうところがある。戸崎はすごく拳が柔らかいと思う。だから、少々強引な競馬をしても、そこからフッと抜く能力があると思うから。多少強引な競馬をしても良いんじゃないかなと。

反対に岩田は強引にガッーとやる時があるでしょ?アイツはやっぱり、ガッーと掛かっていく時があるから。そういうことは自分で自信を持って、反対にもうちょっと強引な競馬をした方がチャンスがある馬もいるんじゃないかな。持っているモノの割りには、ちょっと大人し過ぎるというかね。今日みたいな馬(エクセラントカーヴ)は良いんだけど、やっぱりそうじゃない馬もいるから、ちょっとガッーとやった方がね。
多分、それでも上手く抜いてくると思うよ。見てて、そんなにカッと行くような競馬を見たことがないから。地方の騎手だとやっぱり、追うことは出来るけど、抑えにかかったら硬いところがあるから、みんな誰もが。

-:わかりやすく言うと、もっと攻めていっても、抑えられるような技術があるんですね。

戸崎圭太騎手マネージャー:出していっても、スッと良いところで折り合えると。

圭太:よくコメントで「ちょっと力んだ」とか、「引っ掛かった」とかいう感覚がよくわからなくて不安になっちゃうんですよね。ちょっと(ハミを)取ってると、“「コレが引っ掛かった」と聞くヤツかな?”と思って……。

勝己:JRA(の騎手)はよく言うけど、本来、ある程度は馬なんて、ハミを取っていった方が良いんだよ。俺はそう思ってる。本当にその方がスッと動けるし、岡部さん(岡部幸雄元騎手)なんかも、どっちかというと、開いたとこ、開いたとこに入って、パッと入ったらシュッと抜けていたよね。そういう方が馬も楽に走れるしね。

圭太:それが基本だと思いますね……。

マネ:“完全にハミを取ってない状態が折り合い”という感覚でいますよね。

勝己:そういう感覚でいすぎるから。

圭太:先生たちもそういう風な感じになるから、ちょっと良い感じで行ってると「ちょっと今日は引っ掛かってたか」と言われると、“ああ、そうなのかな?”と思ったり、何かわからなくなってくるんですよね。

勝己:そういう風にばっかり見てるからな。馬ってハミを支点にして、バランスを取る馬も一杯いるから、ちょっと腰の甘い馬なんか、重い走りをする馬はずっと持っていた方が良い馬がいるもん。放すと急に行ってしまうし。そういうのは前が詰まってる方が、走る時があるでしょ。

圭太:芝なんか余計にそう思いますよね。すごく気を使いますね。

勝己:それは気を使い過ぎ。少々やったって、上手く抜いてガチーンと掛からないから、反対にそれぐらいの競馬をした方が良い時もあるんじゃないかなと思って。」

なんか中央と地方でこんなに感覚の差があるんですねぇ

しかも戸崎の「掛る」という感覚がわからないという発言に
安藤勝己の「掛る」くらいの方が丁度いいんだよ

がかなり凄まじいですねぇw

投稿: チキン馬券師 | 2013年10月 7日 (月) 14時59分

これは素晴らしい内容ある対談です。安藤勝の語りは他の騎手も是非耳を傾けるべきです。初期の武豊TVにおける豊のレース回顧並みに価値ある内容を語ってくれてるからです!
日々馬と接している助手や調教師でさえ分からないのがこういった馬の細かい癖(ハミの噛み具合・引っ張り具合)で、こればかりは実際にレースで走ってみなければ気付けません。安藤勝が語っているのはまさにその点で、転入で調教師などの見た目の言葉に却って迷いそうになっている戸崎の顔まで浮かんできました。(笑)
またこの内容から私が想像したのが、地方であれだけ鳴らした小牧太がなぜ予想外に活躍してないかということで、小牧には安藤勝のように感覚を伝えてくれるような人物がいなかったので今の状況に陥ったのではないかと思ったからです。
いずれにしても戸崎は転入してまだ8ヶ月目、中央の馬質とコースの感覚、馬の手応えと自分の特徴(柔軟派・剛腕派)との間で迷いがあって当然で、それでも勝星は相応に残していますから2年目以降の活躍は大いに期待できると思います。
それにしても安藤勝が戸崎の拳を見て「当たりが柔らかいからもっとハミかけて行っても良い」と見ている点には感心させられました。剛腕で有名だっただけに馬を御す達人だった人の言葉は一語一語にも素晴らしい意味が伺えるからです。(確かに凄い!価値大!)

投稿: クライスト教授 | 2013年10月 7日 (月) 18時13分

やはり教授さんもいろいろ思う事ありましたか!!

オレもいろいろ思ったんで

http://mudanannda.jugem.jp/?eid=245

↑みたいな記事を述べてみたわけですが
どうですかね?

投稿: チキン馬券師 | 2013年10月 8日 (火) 10時58分

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